お店の存在を気に留める人がほとんどいないことに気づくはずです。
たとえば、こんな看板を掲げているとしましょう。
「山本酒店j
通行人は『酒屋があるな』くらいは認識するとしても、買い物をする行動には出ません。入店動機が生まれないからです。
しかし看板にこう書いてあったらどうですか。
「世界のビール山本酒店』少なくとも印象には残りやすいですね。
目を留めた通行人のうち、何人かは興味を惹かれて入店する可能性もあります。
看板による誘客とは、端的に言えばそういうことなのです。
印象に残すことができれば、そのときは入店してくれなくても別の機会に来てくれます。
たとえば、ビールが飲みたくなったとき「あそこに面白そうなお店があったな」と思い出してくれるでしょう。
仲間とバーベキューをするとき『そういえばあの店で珍しいビールを売っているらしいよ」と話題にのぼることも考えられます。
これは看板というセールスマンが毎日お客さんを育てているからです。表札のような看板では、こうした効果がまず期待できません。
つまり潜在的な需要を取りこぼしていることになります。
もっとひどい例もあります。それは看板の手入れがなっていないお店です。
文字の一部が欠落している。
汚れやサビが目立つ。
色あせて判読できない。
とっくに寿命を迎えたこのような看板を平気でさらしているお店がたくさんあります。お客さんにどんな印象を与えるか考えないのでしょうか。
私が看板屋だから言うのではありませんが、傷んだ看板は早めに取り替えないとみっともないです。古びて風格の漂っている看板もたしかに存在しますが、それは素材によりけりです。
江戸時代の分厚い木製看板であれば、雨ざらしで変色していても逆に昧を感じさせますね。伝統と信頼をアピールするお店の顔として、こういう看板は決して悪くありません。
しかし、現代の看板は違います。
プラスチックや金属で作られたものは、傷んでくるとただの不良資産になってしまうのです。せっかく立地条件がよくても、何年も前に廃業したような店構えではお客さんも寄りつきません。
看板は単なる屋外設備ではなく、重要な集客ツールなのです。
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